♪♪ coco color 123 - 心理学と色彩心理

◎心理学が対象とするもの

 心理学とは、人間を理解するため、「心」を対象として研究する学問である。分類の仕方に差異はあるが、一般的、理論的な法則の定立を目的とする「基礎心理学実験心理学あるいは一般心理学ともいう)」に対して、応用的、現場的な研究を行なう「応用心理学」に大きく分けて考えることができる。

 基礎心理学には、感覚知覚認知学習社会発達などの分野があり、人間理解に必要な多くが網羅されている。応用心理学での研究成果をもとに、教育人格臨床産業犯罪など、実生活に役立てるための分野がある。

応用心理学に入る色彩心理学は、言葉としては有名だが、学問としてはまだ体系化されておらず、十分な準備が整っていない分野だ。

 色彩自体は、知覚心理学や認知心理学といった基礎心理学で扱うほか、人格心理学、認知心理学で扱うほか、人格心理学、臨床心理学や産業心理学などの領域で扱われている。実際に色彩を扱う領域は非常に幅広く、整理することは難しいといえるだろう。

 

・・・・・色彩心理学のすべてがわかる本 山脇惠子著より

 

◎色彩を扱う心理学の主な分野

基礎心理学、応用心理学の中の色 

 色彩は感覚の中でも視覚の現象としてとらえられ、基礎心理学の各分野で広く研究されている。視覚優位な人間にとっては、心に影響を与える非常に重要なテーマなのだ。

 知覚認知の心理学では、刺激としての色彩が、どのように人に受け取られ、意味を持ち、処理されるかといったことが扱われている。色彩学で学ぶ色相、明度といった基本から、対比など色の見え方、錯視もこの領域に入る。さらに色がどのようなイメージを持たれるかも検討されている。色彩が与える印象をとらえ尺度化して見せるには、測定法の1つとしてSD法(セマンティック・ディファレンシャル法)があり、グラフのような図として登場しているだろう。 

 これらの基礎心理学の研究は、実際の生活で活用するために応用心理学で扱われる。応用心理学で色を扱う分野は、色が及ぼす消費行動への影響、工場の安全性や空間の快適性、国民性の差や芸術の意味など、わかりやすい分野を挙げただけでも、産業環境文化芸術と領域を細分化すれば限りなく、ほとんどの領域といえるだろう。また次々に新しい心理学も誕生している。

 

心の問題などを扱う領域と色

 応用心理学が扱う色彩の内容は、アメリカの色彩学者、カラーコンサルタントが扱ってきた内容と変わりないことがわかる。彼らは応用心理学の結果を踏まえ、さらに実践的指南をしてきた。たとえば部屋の色を、目的に合わせて照明や素材で演出するといった実践である。

 こうした日常で色彩学と心理学は重なっているが、心理学では科学としての検証がより高く求められるため、色の研究は難しいといえるのだ。

 ところで多くの人が心理学として思い浮かべるのは、性格の診断や解釈、また個人の問題や心の病気を扱う領域ではないだろうか。

 一般に、これらは、発達心理学人格心理学臨床心理学カウンセリング心理学健康心理学などを中心とした分野だ。色を活用した人格検査、表現を用いた芸術療法などの、治療や援助も行われている。

 近年では特に、心の治療、問題の解決が注目され、カウンセリングも病気に戻る分野と、病気以外の問題解決に携わる分野がある。臨床心理学は、精神医学と重複して病的な状態を扱う心理学とされてきたが、昨今は病気か病気ではないかの判断がますます難しくなっているのも事実だ。

 これらの領域で色彩は、治療や援助に必要な情報収集のツールとして、また治療そのものの技術、さらに心の健康を維持するための方法として役立っている。

 

 ・・・・・色彩心理学のすべてがわかる本 山脇惠子著より